メテオロイドは空気分子との衝突で表面が数千度に熱せられ、蒸発(アブレーション)しながら突き進みます。蒸発した金属原子や周りの大気がイオン化・励起されて光る――これが流星です。ここでは単体アブレーションモデルを実際の大気密度で数値的に解いています。
METEOROID
LIGHT CURVE
横軸: 絶対等級(右ほど明るい)縦軸: 高度 km
SPECTRUM
380 nm速度で変わる発光線720 nm
SCIENCE
なぜ 11〜72 km/s なのか
下限 11.2 km/s は地球の脱出速度(どんなに遅くても地球重力で加速される)。上限はおよそ 72 km/s:地球軌道の位置で太陽系を脱出しない最大速度 42.1 km/s と、地球の公転速度 29.8 km/s が正面衝突で足し合わさった値です。しし座群(71 km/s)は逆行軌道でほぼ正面から、ふたご座群(35 km/s)は追いかける形でぶつかります。
単体アブレーションモデル
減速と質量損失を次の式で積分しています(Γ: 抵抗係数, Λ: 熱伝達係数, Q: 蒸発熱, A: 形状係数1.21, ρ
a: 大気密度, ρ
m: 物質密度)。
dv/dt = −Γ A ρa v² / (m1/3 ρm2/3)
dm/dt = −(Λ / 2Q) A ρa v³ (m/ρm)2/3
I = −τ (v²/2) dm/dt, M = −2.5 log₁₀(I / 1500 W)
大気密度は標準大気(0〜160 km)を対数補間。発光効率 τ は速度に比例(〜1%)と仮定した簡易モデルなので、等級は目安です。
色の正体はスペクトル
流星の光は、ナトリウム Na 589nm(橙)、マグネシウム Mg 518nm(緑)、鉄 Fe の多数の線、カルシウムイオン Ca⁺ 393/397nm(紫)、そして大気の窒素 N₂(赤)・酸素 O 557.7nm(緑)の輝線の組み合わせ。高速の流星ほど高温で Mg・Ca⁺・大気の線が強まり青緑〜白っぽく、低速の流星は Na・Fe が目立ち黄〜橙に見える傾向があります。流星の色はこのスペクトルから計算しています。
流星痕と大気光
明るい流星のあとに残る流星痕は、イオン化した通り道の再結合や、金属原子とオゾンの化学発光(Na + O₃ → NaO + O₂ など)によって光ります。上空の風は高度によって向きも強さも違う(風のシア)ため、痕はねじれるように変形します。背景の高度95km付近の淡い緑の層は、酸素原子が夜通し放つ大気光です。
燃え尽きるか、隕石になるか
ほとんどのメテオロイドは高度70〜120kmで完全に蒸発します。大きく・遅く・密度の高い物体だけが十分に減速して発光をやめ(暗黒飛行)、燃え残りが地表に届くと隕石になります。「岩石」「鉄」で直径を数cm以上、速度を 15 km/s 程度にして試してみてください。